お互いが刺激し合って、変わっていく。舞台は、音楽のセッションと一緒です。

東放学園/東京アナウンス学院時代に、もう少し授業に出ておけばよかったと今になって思います。ある舞台で市川染五郎さんと一緒に踊ったときは、“日舞の授業ちゃんとやっとけばよかった!”って(笑)。

出待ちをする人々に混じってオーディションを願い出た。

「舞台での演技は、音楽のセッションと一緒。ひとりのセリフのトーンが変われば、みんなが変わっていくんです」

と語るのは、劇団☆新感線で活躍する俳優の吉田メタルさん。舞台デビューは1992年。東放学園/東京アナウンス学院卒業を間近に控えたころだった。
「卒業後の将来を不安に思っていたし、田舎に帰らなくて済む理由をつけたかった。“芝居の修業をするなら劇団だ!”という安易な考えでいろんな劇団を見に行ったんです」

そんななか出会ったのが新感線。歌舞伎の様式美、ハードロックを取り入れたエンターテインメントな舞台に、吉田さんは圧倒された。
「“なんて楽しそうに芝居をする人たちなんだろう。自分も入って一緒に遊びたい”そんな気持ちになったんです」
舞台が終わると若い女の子に混じって“出待ち”をし、座長や出演者にオーディションを願い出た。そんな働きかけにより『ゴローにおまかせ』での出演を認められ、新感線に入団。以来、吉田さんは数々の舞台で熱演を繰り広げてきた。

毎日同じ舞台をやれといわれる方が難しい。

「どの公演にも思い入れがありますが、『Cat in the Red Boots』はとくに心に残っています。本編の前に、前説をやらされまして。日に日にセリフは増えていくし、“時事ネタを入れろ”とかいわれるし。座長の個人的な趣味の時間になってましたね(笑)」
舞台俳優の仕事は、稽古初日の“顔合わせ”から始まる。そこから1ヵ月に渡る稽古で役作りを行い、やがて本番を迎える。
「お客さんのリアクションは日によって、地域によっても全然違いますから、役者のテンションもやはり変わってきますね。日々新しい発見があり、手直しもある。きっと“1ヵ月間同じことをやれ”といわれるほうが難しいですよ」

舞台の魅力は“みんなで作っていくことの楽しさ”にあると吉田さんはいう。
「初めて共演する役者さんでも、千秋楽まで3ヵ月も一緒にいれば“最初は敬語だったよね”なんて話が気軽にできるようになったり。実力のある役者さんとの舞台では、“世の中に本物っているんだ、一緒に仕事をするからには、自分も頑張らなきゃ”と刺激を受けることもあります。舞台は、長い期間かけて作りあげていく団体競技のようなもの。その裏には、役者という個人競技があるわけなので、一人ひとりの努力も忘れてはいけないと思いますね」

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