友だちから「あのアニメ見たよ」そういわれるのが一番うれしい。

最初、どんなアニメの会社に入ればよいのかわからなかった私にとって、 東放学園で得た知識とコネクションはとても大きかったですね。同じ業界をめざす仲間にも恵まれました。

原画は10年かけて一人前。先輩を見てヒントを探す。

一言でアニメーターといっても、その仕事は細かな役割に分けられている。現在、本多美乃さんが担当しているのは、原画と呼ばれるパート。白紙の状態から画面を作り出し、キャラクターなどの“動きのポイント”を描いていく作業だ。その原画を元に、間のコマを描いて動きを完成させていくのが動画マンということになる。
「本当に原画のことがわかるようになるには、最低でも10年といわれます。答えのない世界ですから、なにかうまくなるヒントはないかと、いつも先輩の絵を見たり、経験談を聞くようにしています」

東放学園在学中のときから、今の会社で研修を受け、まずは動画マンとして、アニメ作りの最前線に飛び込んだ本多さん。アニメのスタジオに入ると、最初に担当するのが動画なのだという。
「まず、原画を清書するクリーンナップという作業に関わります。これは、ただ均一な線でなぞればいいというものではなく、原画マンが絵に込めたニュアンスをくみ取るのがとても難しいんです。上司からも“ニュアンス! ニュアンス!”と耳にタコができるほど聞かされました(笑)」

ほめられ、叱られながらアニメーターは成長していく。

そんな頑張りが認められ、本多さんは、研修からそのまま現在の会社に就職。やがて原画マンとしても活躍することになる。原画では、動画よりも作品作りにもう一歩踏み込んでいく。コンテマンや演出家の狙い、美術設定、キャラクター設定、カメラアングルといったことも踏まえつつ、ペンを走らせるのだ。
「作画するときにキャラ(役者)になったつもりで動きを出すのはもちろん、カメラの位置も自分で決めます。また、シーンごとの小さな芝居も、原画マンにまかされるので、演出面も大事です。考えることはたくさんありますね」

業界の先輩で東放学園の講師でもあるディオメディア社長・小原充さんの言葉を、本多さんはいつも胸に留めて仕事にのぞんでいる。
「“アニメーターは、いい役者、いい演出家、いいカメラマンであれ”といわれました」

業界への扉を開いて、プロとしての精神面や作画の基礎を指導してくれた社長にはとても感謝している、という本多さん。難しい仕事をやりとげた後の、周囲からの反応がなによりの喜びだ。
「友だちから“あれ見たよ!”っていわれたときはうれしいですね。スタジオの人など、同じプロから評価されたときにも、やりがいを感じます」

奥深いアニメの世界では、まだまだ新人。これからも本多さんは、“ほめられながら、叱られながら”腕に磨きをかけていくに違いない。

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