
もし東放学園に入るならば、映画に対して考え、問いかける2年間にしてほしい。それを念頭において、映像を志す先輩たちやプロの講師と出会い、映画に不可欠な知識と教養を身につけてほしいですね。
「『パーティーは終わった』は、映画監督としてのまぎれもない“最新作”です」
2011年2月、行定勲監督にとって第2弾となるBeeTVの携帯ドラマ『パーティーは終わった』の配信がはじまった。大ヒット作『世界の中心で、愛をさけぶ』をはじめ昨年公開された『パレード』など、多くの話題作を送り出してきた行定監督は、あくまで“映画”という表現にこだわり、身を捧げてきた生粋の映画人。そんな監督が、携帯というメディアへ足を踏み入れた理由とはなんだったのだろう。
「これだけインタラクティブな時代になった今、作品をどこで観るかはユーザー(観客)に委ねられているんです。たとえば、僕らが映画をつくっても、結果的にDVDになってから観る人もいれば、逆に携帯ドラマが映画館で公開されてから、スクリーンで見る人もいる。そう考えると、手抜きはできませんよね。『パーティーは終わった』は予算もスタッフも映画と同じ規模。それだけに映画という名に恥じない作品をつくりたかった。携帯ドラマだけど、最新の映画を撮る意識で制作しました」
脚本からカメラワークを決め、俳優たちに演技を付けるのも映画監督の仕事。現場で行定さんが大切にしているのは 、俳優一人ひとりに“考えさせる”ことだという。
「俳優と一緒にテーマ性を掘り下げていかないと、映画は表層的で、血の通ったものにならないと思うんです。俳優個人の台本の解釈から新しい発見が生まれることも多いんですよ。そのシーンにふさわしい空間をつくるのは監督の仕事。そのなかで、彼らが持ち込む解釈を展開させていくのが、僕の演出方法です」
東放学園在学中から制作会社に入り、林海象監督や岩井俊二監督のもとで助監督を務め、経験を積んだ。肉体的にはハードな時代。でも、それを修行と思ったことはなかった。 “映画監督になること”はゴールではなかったからだ。現場での行定さんの居場所はいつも、ディレクターズチェアではなく、すべてが見渡せるカメラ横だ。
「映画作りの醍醐味は、俳優を取り巻くスタッフワーク。映画は映っているものがすべてだと僕は思っていなくて。大事なことは、カメラの外側で起こっているんです。演出の着地点は変わってもいい。でもそれは自分の中でも納得でき、誇りを持って観客に提示できるものでありたい。それがどこなのかをスタッフ、俳優とともに探求するのが映画監督の仕事だと思っています」