現在の仕事を教えてください
エンターテインメント開発部という部署で、イベント、グッズ、本、ポッドキャストなどの制作に携わっています。要するになんでも屋。一人で年間35個くらいの企画を実施していて、非常に忙しいです。ラジオを含め、マスコミの広告収入が下がっているなか、放送以外のところでラジオ局の収入を上げていって、今後もラジオ放送を続けていこうという取り組みです。今はさまざまなことにチャレンジして何が一番効果が高いか試行錯誤しています。もちろん、その根本にはラジオってこんなに面白いものなんですよとアピールしたいという思いがあります。
以前は制作会社でラジオ番組のディレクターをされていましたね
『オールナイトニッポン』をはじめ、多いときで週に6〜7本の番組を担当していました。ただ、10年やったところで、番組でできることはやりつくしたという思いを感じたんです。それなら外に出て、ラジオが注目されるような別のコンテンツをつくろうと思いました。
東放学園在学中はどんな番組を作っていましたか?
エコをテーマにした課題で、エコトママンというキャラクターと公害怪獣が戦うラジオコントを作ったり、クラスメイトの実家に行ってお母さんに出演してもらう番組を作ったり(笑)。実現できなかったものもあるけど、学園祭や授業でとにかくいろんな企画を出しました。当時、制約の多い教育現場で、どうしたら企画を実現できるのか知恵を絞った経験は、今の仕事のやり方にもつながっていますね。
ラジオ業界をめざす学生にアドバイスするとしたら?
今、ラジオ業界は多角的な取り組みをしています。ラジオの放送だけではやっていけない時代なので、これからはさらにいろいろなものが求められると思います。その意味では、ラジオが好きなのは当たり前として、映画を観たり、本を読んだり、さまざまなエンターテインメントに触れておいた方がいいと思います。
最後に今後の夢を聞かせてください
現在、いろいろな業界の方と仕事をさせてもらっているので、そういう方たちと一緒に、まだ誰もつくったことがないようなめちゃくちゃ面白い音声コンテンツをつくりたいですね。
白石さんの現在の仕事内容は?
『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(NHK・Eテレ)や『ちいかわ』(フジテレビ系)など、アニメの音響効果を中心にアニメ映画や邦画、海外ゲームの吹き替えディレクションなど、幅広いジャンルの仕事に携わっています。話題の作品は「観てますよ!」という声をいただくことも多く、うれしい気持ちになりますね。
経験を重ねても「難しいな」と感じることはありますか?
スタッフ間のイメージ共有は、いまだに難しいなと感じます。監督によって好みも違うし、自分が意図した音をほかの人が同じように聞いているかというとそうじゃないこともある。アニメにもさまざまなジャンルがあって、例えば、シチュエーションCDなどセリフがメインの作品なら音楽や効果音の音量を抑えてセリフを大きめにしたり、アクションなら効果音の迫力を出したりなど、それぞれの特性を理解することが大切だと思います。あとは、経験を重ねて慣れることですね。
音響効果の魅力はどんなところですか?
同じ作品でも、効果音は付ける人によってさまざまなので、自分の音を個性として表現できることが音響効果の魅力だと思います。最近は、自分で声優さんの声を録って、効果音も付けてという仕事も少しずつやらせていただいていますが、将来は音響監督をはじめ、ディレクションなど音周りをすべて自分が担う仕事を増やしていきたいですね。
この世界をめざす方へアドバイスを!
在学中に学んだ「Pro Tools」は今の仕事の基礎になっています。とはいえ、実際に現場に出てみるとはじめてのこともたくさんあったし、先輩方の作業のスピードにビックリしました。卒業しても毎日が勉強です。指示を待つ受け身ではなく、「こうやってみましたがどうでしょう」とアピールするくらいの方がほかの人よりリードできますよ。今からそういう意識を持つといいと思いますね。
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