映画監督・演出家
78年度卒 / (株)オフィスクレッシェンド
映画・ドラマ『SPEC』シリーズ(TBS系)
映画『ミステリー・アリーナ』
ドラマ『DARK13 踊るゾンビ学校』(ABCテレビ)
その作品を届ける相手が一般の方々であれ、マニアックな層であれ、"楽しんでもらえる作品をつくる"ということに尽きます。その"楽しませる"という目的に向けて、映画制作という大きな船が、今、どこに向かっているのか。それを見つめ、動かしていくのが僕の仕事ですね。
この年齢になっても撮影現場で走ったり、歩いたり、笑ったり、泣いたりすることが多いのが醍醐味かな。わかりやすくいうと健康法ですね(笑)。実は、今がこれまでの人生で最高に忙しいんです。2024年は公開作品もたくさんあって、そのなかの1本が映画『夏目アラタの結婚』。原作マンガのファンの方々に満足してもらえるような作品をめざしつつ、同時に映画独特の表現にもこだわっています。
一般の人々が抱く、その役者さんに対する"共通イメージ"みたいなものに頼らないこと。例えば仲間由紀恵さんは、もともと清楚でおとなしいイメージだったけど、実際に会ってみると、すごくレスポンスがよくて受け答えも面白い。コメディに向いているんじゃないかと思いました。それで『TRICK』(テレビ朝日系)では、シリアスからコメディへと路線をガラっと変更したんですよ。
レンタルビデオも配信もない時代に、先生が自ら映写技師の資格を取って、さまざまな先駆的な映像作品を僕らに"叩きつけて"くださった。あの体験は絶対的なものですね。ヌーベルバーグの巨匠から日本の名作ドラマに至るまで、「こんなにおもしろい世界があるんだ!」と思いました。
監督をめざすのであれば、自分自身の撮りたいイメージがあることが大事。それは映像表現のすべてがAIになって、カメラがなくなる時代が来たとしても変わることはありません。結局、細部にいたるまで演出をジャッジするのは自分だし、明確なビジョンが必要なんです。寝ても覚めても撮りたいイメージを持って現場にいれば、自然とチャンスはやってくるものなんです。人が恥ずかしいと思うことでも、「自分は好きだ」と思うとそれが出発点になるんですよ。そこを忘れないで、自分にとって面白いものは何かを常に考え続けてほしいですね。
「好きだ」と思えたら、
それが出発点になる。
映画監督
88年度卒 / (有)セカンドサイト
映画『楓』
映画『リボルバー・リリー』
映画『窮鼠はチーズの夢を見る』
映画『劇場』
コロナ禍によって映画館が封鎖されるという事態を目の当たりにして、今やれることは何かと考えたとき、僕が感じたのは"音楽を奏でるように映画をつくりたい"ということ。震災時に立ち上がったミュージシャンたちがそうだったように、僕ら映画人も、リモート収録やライブ配信という手段を使えば、リアルタイムに人々の心に寄り添う作品を届けることができると考えました。そうして生まれたのが、『きょうのできごと a day in the home』など一連のショートムービーです。感染防止で近づくことが許されない男女の姿など、ラブストーリーの肝になる"距離"という設定をコロナが与えてくれたから、題材としても非常に面白いものになりましたね。
騒然とした現場の空気にすごい熱量を感じたし、忘れ難い経験でしたね。完成した映画を観てみると、それは自分の想像をはるかに超えたものでした。子ども時代に想像を超えたものを見るという経験は貴重ですよね。そして、あのとき現場で甲冑に泥を塗っていたおじさんたちの一つひとつの作業が、この映画のリアリティ、迫力を生んだと子どもなりに理解したわけです。映画の細部をつくっている黒澤組の"スタッフ"にあこがれて、「あのひとりになら自分もなれるんじゃないか?」と思ったのが僕の原点。今思えば映画監督ではなく、そこをめざしたことが僕にとってよかったのかもしれません。
表面的なうまさよりも、なぜその表現にたどり着いたのかというプロセスが大事。海外の映画祭を見ていても、先進国でない国の映画人たちがつくった無骨な作品の方が、よほど新しくて衝撃的だったりする。全然ヘタくそでいいんです。自分が求めているものは何か?という純度を大切にして、映像制作にのぞんでほしいですね。
大切なのは、
「何を求めているのか」という気持ちの純度。
映画監督
15年度卒
映画『愛されなくても別に』
映画『あの娘は知らない』
ABEMA『恋と知った日』
テレビ東京『けむたい姉とずるい妹』
カンヌに行った当時は21歳。世界で活躍するスター俳優や映画監督がレッドカーペットを歩いているのを近くで見て、世界との差を肌で感じ、悔しいという感情が生まれました(笑)。そのとき湧いた反骨精神は、その後の作品作りの原動力となっています。
学校では、"映画作りでもっとも大切なこと"を教わったと思います。「まずは自分の半径5mをきちんと描ききれ!」という講師からの言葉で、作品作りへの意識が変わりましたね。"自分はこういう人間なんだ"ということを作品の中で表明し、自分の名刺代わりになる作品をつくりなさいと。『溶ける』がまさにそうなったわけで、恩師たちには頭が上がりません。
よい作品をつくるためには、役者さんとの信頼関係をつくることが大切だと思っています。映画『真っ赤な星』では、女優の桜井ユキさんとお互いの過去をもさらけ出すほどいろんな話をしました。感覚まで共有できるようになってから撮影にのぞんだので、いいシーンたくさん撮れたのだと思います。
映画だけにこだわらず、ドラマやMV、PR映像など、面白いものにはどんどんチャレンジしていきたい。作品に関わるたくさんの人と協力して、ひとつの作品をよくしていく…そんな映像作りがやっぱり好きなんです。
世界との差を痛感し、
その悔しさが原動力になった。