これまで担当されたお仕事について教えてください
ニッポン放送のラジオ番組『オールナイトニッポン』のディレクター・プロデューサーを経て、イベントやグッズ、本、ポッドキャストなどの制作に携わっていました。多い時期はひとりで年間30以上の企画を担当。なかでも製作総指揮として取り組んだ東京国際フォーラムで開催した生配信舞台演劇ドラマ『あの夜であえたら』と『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』は自分にとっても大きな経験になりました。
ふたつの大きなイベントを終えての感想を教えてください
新しいエンターテインメントをつくれたという感覚はありました。そういう感想もいっぱいいただいたんです。ラジオ番組のイベントの舞台裏を描いた『あの夜であえたら』をつくりながら、『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』という本物のラジオ番組のイベント企画を進めていたので、いろいろなことがダブって、ものすごくリアリティがあるなぁと思いました。東京ドームライブでは『あの夜であえたら』で描かれていたようなアクシデントは起きていないんですけどね(笑)。
東京ドーム公演の成功は、ラジオが持つ力を証明したのではないでしょうか?
ラジオという媒体が持つ、ある意味共同体というか、それを信じて生きている人たちがいるという熱狂を感じられるイベントになったと思います。それはやはりオードリーさんというラジオが大好きで、ラジオを大事にしている稀有なパーソナリティーの存在が大きい。正直、東京ドームという話が出たときは予算的に無理だと思っていました。会場を変えようと考えていたら、東京ドーム側の担当者が、彼は長年、番組を聞いているいわゆるリトルトゥース(番組リスナーの愛称)のひとりなんですけど、制作費を抑えてできるという座組を提案してくれたんです。それだったらぜひ挑戦してみたいと思いました。
それこそラジオの力ですね
番組を15年もやっていると、いろいろなところにリスナーがいるんです。会場で流した映像をつくってくれたスタッフにも、宣伝担当者にも、グッズのデザイナーにもリスナーがいて、それならスタッフは全員リトルトゥースで揃えようということもコンセプトとしてありました。
東放学園在学中はどんなラジオ番組をつくっていましたか?
エコをテーマにした課題で、“エコトラマン”というキャラクターと公害怪獣が戦うラジオコントをつくったり、クラスメイトの実家に行ってお母さんに出演してもらう番組をつくったり(笑)。実現できなかったものもあるけど、授業や学園祭でとにかくいろんな企画を出しました。当時、制約があるなかで、どうしたら企画を実現できるのか知恵を絞った経験は、今の仕事のやり方にもつながっていますね。
これからのラジオ業界にはどんな人材が必要でしょうか?
新しいことにチャレンジする人が必要です。逆に言えば、『オールナイトニッポン』をつくりたいというだけの人はもう要らない。いや、もちろん番組はこれからもつくるんですけど、番組をつくってそこからどうするの?という発想の人が増えていかないといけない。番組をイベント化するにしても、まだまだいろいろな方法があるはずです。同じことをずっとやっていても、ダメだと思うんですよ。新しいことにトライしていこうという人たちにどんどん出てきてほしいですね。
最後に今後の夢を聞かせてください
3月いっぱいでニッポン放送を辞めて、自分の会社((株)玄石)で新たなことに取り組みます。ラジオで培ってきた知識や経験を活かして、アニメをはじめ、いろいろなジャンルの面白い人たちと一緒に、何か新しいことをやりたいと考えています。
白石さんの現在の仕事内容は?
『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(NHK・Eテレ)や『ちいかわ』(フジテレビ系)など、アニメの音響効果を中心にアニメ映画や邦画、海外ゲームの吹き替えディレクションなど、幅広いジャンルの仕事に携わっています。話題の作品は「観てますよ!」という声をいただくことも多く、うれしい気持ちになりますね。
経験を重ねても「難しいな」と感じることはありますか?
スタッフ間のイメージ共有は、いまだに難しいなと感じます。監督によって好みも違うし、自分が意図した音をほかの人が同じように聞いているかというとそうじゃないこともある。アニメにもさまざまなジャンルがあって、例えば、シチュエーションCDなどセリフがメインの作品なら音楽や効果音の音量を抑えてセリフを大きめにしたり、アクションなら効果音の迫力を出したりなど、それぞれの特性を理解することが大切だと思います。あとは、経験を重ねて慣れることですね。
音響効果の魅力はどんなところですか?
同じ作品でも、効果音は付ける人によってさまざまなので、自分の音を個性として表現できることが音響効果の魅力だと思います。最近は、自分で声優さんの声を録って、効果音も付けてという仕事も少しずつやらせていただいていますが、将来は音響監督をはじめ、ディレクションなど音周りをすべて自分が担う仕事を増やしていきたいですね。
この世界をめざす方へアドバイスを!
在学中に学んだ「Pro Tools」は今の仕事の基礎になっています。とはいえ、実際に現場に出てみるとはじめてのこともたくさんあったし、先輩方の作業のスピードにビックリしました。卒業しても毎日が勉強です。指示を待つ受け身ではなく、「こうやってみましたがどうでしょう」とアピールするくらいの方がほかの人よりリードできますよ。今からそういう意識を持つといいと思いますね。
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