映画監督、カメラマン、照明、録音、美術、編集、シナリオライター…。それぞれのエキスパートがそろってはじめて、総合芸術である映画は完成します。2021年度映画制作科卒業制作『MY HOMETOWN』を例に、一本の映画が完成するまでの流れをみてみよう!
映画制作科
古川 葵さん『MY HOMETOWN』監督・脚本
本当の映画作りでしか学べないことがある!
企画・シナリオから自身で手がけた作品ですが、仲間たちの力で、自分のつくった物語とは思えないほどのでき栄えになりました。映画制作についてなにも知らずに入学した私が、40分の映画をつくれたことは、2年間の大きな成果。撮影の実践的なスキルも作品への思い入れがあるからこそしっかり覚えるし、本当の映画作りでしか学べないことがあると実感しました。
企画
まずは企画とプロット(映画の筋書き)作りからスタート。「卒業制作」の授業内で提出されたもののなかから、実際に制作する企画をみんなで選びます。企画のプレゼンでは、内容もさることながら“どれだけその映画をつくりたいか”という熱量を伝えることも大事です。
シナリオ
プロットを具体的な描写に落とし込むシナリオ作り。ひとりよがりな表現にならないよう、台本を客観的に見つめ直しながら何度も書き直しました。本作の決定稿があがったのは、撮影1週間前。製本された台本を手にしたときは、テンションが上がりました(笑)。
キャスティング
『MY HOMETOWN』は親子三世代の物語。キャスト候補は、アマチュア俳優の登録サイトで募集しました。役者さんの柔軟性・対応力を知りたかったので、オーディションではセリフだけでなく雑談も交えつつ、雰囲気をつかんだうえで配役を決定しました。
ロケハン
候補地に足を運んでロケ地選び。今回ロケを行ったのは団地・商店街・焼肉屋さんなど。コロナ禍や予算などの制約もあるなかで、どれだけイメージに合った場所を見つけられるかが課題でした。映画の街・調布にはたくさん協力していただき、たいへんお世話になりました!
本読み
キャストが顔を揃えて台本を読み合わせ。役者さんの声や表現が加わると、いい意味で作品が “自分の手を離れていく”感覚になります。「映画をつくっている」と実感できる瞬間でした。
リハーサル
実際に演技をしてもらいながら演出をつけていきます。団地に暮らす家族の姿をリアルに描きたかったので、役者さんとは家族の関係性についてよく話し合い、日常生活のクセひとつにもこだわって演出プランを固めていきました。
オールスタッフ打ち合わせ
ロケを前に全員で撮影方針やスケジュールを確認。搬入経路や休憩時間など細かなことまでしっかりと打ち合わせしました。
テスト撮影
学内のスタジオや教室をロケ地に見立てて、さまざまなパターンで試し撮り。テスト撮影は授業に組み込まれているので、先生の指導のもと、カメラワークなど基本的なセオリーを学びながら、撮影プランを決めていきました。
機材準備
カメラの設定や照明の点灯チェックを済ませたら、機材車に積み込んでいざロケ地へ。いろいろな機材を試してみたい技術スタッフの希望で、使わないかもしれない機材も持っていきましたね(笑)。
撮影(ロケ)
現場に機材を持ち込んでいよいよ本番!昼夜を問わず1週間をかけて撮影を行いました。テストと本番ではみんなの集中度合いもまったく違います。スタッフ間で意見が飛び交うなか、内心不安があっても監督らしくどっしり構えて、指示していくことも大事(笑)。この1週間は合宿みたいに楽しくて、仲間たちとの距離もぐっと近づきました!
編集・ラッシュ
撮影した映像素材をつなぐ編集作業。編集ソフトのスキルも実践を通して着実に上達しました。つないだ映像はスタッフや先生の前でラッシュ(制作途中の上映)を行い、意見を聞いたうえでさらに編集のアップデートを重ねていきました。
音響効果収録
録音部のスタッフが中心となって効果音作り。効果音は現場で録音したものを加工するほか、足音や生活音などシーンごとに欠かせない音は、新たに録音してつくりました。
ダビング
ダビングとは、セリフ・効果音・BGMをミックスし、映像に合わせる作業のこと。聞こえにくいセリフや撮影後に必要だと感じたセリフなどもこの段階で追加しました。
完成(上映)
すべての作業を終えて、ついに作品が完成!といっても“完成したら終わり”ではありません。学内の試写で感想をもらったり、映画祭に出品を働きかけるなど、ほかの人にも見てもらうための活動も大事なプロセスです。
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