福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト/映画『おかえり』監督・脚本を担当した学生インタビュー

2022年9月6日

福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト/映画『おかえり』監督・脚本を担当した学生インタビュー
東日本大震災における東京電力福島第一原子力発電所の事故により全町民が避難生活を余儀なくされた福島県双葉町(ふたばまち)を舞台に、映画制作科の2年生が短編映画『おかえり』(監督:伊豆倉将宙 脚本:梶田慎悟)を制作しました。

本作は、東京電力福島第一原子力発電所の事故による被災地域の復興に向けた、経済産業省による「福島浜通り映像・芸術文化プロジェクト」の一環で制作した作品です。

監督をつとめた伊豆倉将宙さん(映画制作科2年/20歳/神奈川県出身)と脚本を担当した梶田慎悟さん(映画制作科2年/岩手県出身/22歳)に話を聞きました。

ー今回のプロジェクトに参加しようと思った理由は?
梶田 僕自身が岩手県出身で東日本大震災を経験しているので、同じ東北の福島復興の力になればと思い参加させていただきました。
伊豆倉 自分の脚本で国の復興事業に携われるチャンスだったからです。また国が費用を負担してくれるのも参加したいと思った理由でした。学生のうちは制限が多く、満足した撮影をするのは難しいので、自由に作品制作ができるのではと思いました。

ーシナリオハンティングで双葉町を訪れた感想は?
梶田 当時のまま残された町の様子は、被災当時から時間が止まっている印象を受けました。反面、整備が整っているJR双葉駅周辺は真新しく綺麗ではあったのですが、親しみが感じられませんでした。

ー今作のテーマにもつながっていますね。
梶田 この物語を書く時に考えたのは、「新しくなった町は果たして帰りたかった町なのか」。10年ぶりに町に帰ってきた主人公が新しくなった町を見て感じる“心の葛藤”を描きたいと思いました。

ーこだわった点は?
梶田 最後の小学校のシーンです。シナリオハンティングで「時間が止まっている」という印象は特に学校で感じました。

ー伊豆倉さんはいかがですか?
伊豆倉 シナリオハンティングでは、被災地の状況を知るだけでなく、被災者の方の内面に触れることができました。それらはテレビのニュースやSNSでは伝わってこないものばかりで、本当に貴重な体験をさせていただきました。改めてなぜ自分が映画をつくりたいのかを振り返るきっかけにもなりました。

ーこの作品で表現したかったことは?
伊豆倉 人物の感情を画にするうえであえて後ろ姿を切り取りました。登場人物が目の前の出来事や物を見て、何を感じ、何を思っているのかを観客に考えてもらいたかったからです。そこにはいろんな正解があると思います。観客のみなさんが登場人物と自身を重ねて観てもらえたら嬉しいです。またこの作品を観た双葉町の方が少しでも前向きになっていただけたら幸いです。

ー監督として、どのような思いで撮影にのぞみましたか?
伊豆倉 今回の企画は準備期間が短く、シナリオの完成稿があがったのも撮影当日の朝。また、監督をつとめるのもはじめてだったため、不安ばかりでした。しかしそれはスタッフも同じだったと思います。だからこそ監督として、全体を引っ張る気持ちを強く持ち、優柔不断にならないように心がけました。

ー完成した作品を観た感想は?
梶田 今回、僕は伊豆倉くんに監督をお願いしたのですが、僕が伝えたかった内容をただ映像に起こすだけではなく伊豆倉くんの感性が加わって、さらに良い作品になったと思います。

ー最後に今回のプロジェクトに参加した感想を聞かせてください
梶田 被災して以降は復興が大事と思っていましたが、今回のプロジェクトに参加して、11年経ち帰れるようになってきたからこそ見える景色や課題もあると感じました。これからその課題にどう取り組んで行くべきか。改めて考えさせられたのが自分のなかで一番の変化だと思っています。
伊豆倉 今回のプロジェクトに参加して、自分の現段階の実力を知ることができました。同時に世の中の映画がいかにすごいか実感するきっかけでもありました。またひとりでは何もできないことを知り、どんな立場でも人を大切にすることが一番だとわかりました。映画制作だけでなく、何をするにもまずは相手を思いやる気遣いが大切だということ、本作の制作はそれに気づけた最高の経験でした。
  • 監督の伊豆倉将宙さん(左)と脚本の梶田慎悟さん(右)双葉町で行われた上映会の会場にて。

    監督の伊豆倉将宙さん(左)と脚本の梶田慎悟さん(右)双葉町で行われた上映会の会場にて。
  • 短編映画『おかえり』監督:伊豆倉将宙 脚本:梶田慎悟

    短編映画『おかえり』監督:伊豆倉将宙 脚本:梶田慎悟

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